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金融所得課税の問題が、総裁選のときも問題にされましたね。
何が問題なのでしょうか?
なるべく簡単に解説したいと思います。
まず、大前提を理解しておく必要があります。
それは「税制は公平であるべき」ということです。
「平等」ではなく「公平」です。
つまり国民全員が「同じ額の負担」「同じ率」の負担ではなく、
より多くもうけている人はより多くの負担、
もうけが少ない人は少ない負担、
「もうけに応じた負担を」というのが日本の税制のあるべき姿、
と言われています。
これが大前提です。
そして、この大前提が守られていないのが金融所得課税なのです。
金融所得とは、株式を売ったときのもうけや、配当のもうけですね。
これらの金融所得は税率が約20%と固定になっています。
固定ということは・・・
そう、「公平」ではなく「平等」なんですね。
一方、サラリーマンの給与や、自営業者の事業利益は、
その金額によって、0%~45%の段階的税率になっています。
累進課税(るいしんかぜい)と言われています。
多くもうけた人の税率は高く、少ない人は低く、
これによって「公平」な税制とされています。
で、話を戻して、金融所得ですね。
そもそも、株式などに投資して金融所得がある人は、
余剰の資金がある人、つまりもうけが多い人なんです。
そんなもうけの多い人の所得が約20%で固定なのです。
サラリーマンが30%とか40%とか負担している一方で、
もうけが多い「富裕層」と言われる人が、
株で稼いだお金は約20%しか税金がかかっていないのです。
これって「不公平」ですよね?
収入が1億円を超えると、金融所得の割合が増えるので、
実質的な税率は下がってしまう、という逆転現象が起こっています。
これが「1億円の壁」です。
ならば、
「公平」にするためには、金融所得の税率を上げればいいじゃないか、
となるんですが、そう簡単にはいかないんです。
金融所得の税率を上げると、
代わりに海外の株を買うなどのことが起こり、
日本市場に対する投資が減ってしまう、
そして株価が大きく下がることになる、
などと言われており、
実際に噂レベルで金融所得課税強化が出るだけで、
株価は下がってしまうんですね。
日本経済が沈んでしまう、と言われております。
日本としてあるべき「公平な税制」にすると、
日本経済が弱くなってしまうのです。
難しい問題ですね。
金持ちはもっと金持ちになり、
貧しい人は貧しいまま。
そんな状況なんですね。
はてさて、どうすればいいんでしょうね?