野々市・金沢・白山市を中心に活動している「かわした税理士のブログ」へようこそ!
みなさんご存知のとおり、令和6年から、
相続時精算課税をはじめ生前贈与が大幅に改正されました。
今回はその中でも、
相続時精算課税の話です。
基礎控除110万円が新設され、
その110万円は一切生前贈与加算されない、
というものです。
暦年贈与の生前贈与加算は7年に延長されたのに、
相続時精算課税の基礎控除については、
生前贈与加算されません。まったくさかのぼりません。
一見、すごく魅力的に見えます。
しかし、実は・・・
という話(確証はありません)を聞きましたので、
ここに書いておきます。
その話とは、
名義預金の絡みの話です。
名義預金とは、名義を借りただけで、
実質的にお亡くなりになった方の財産である、
とされる相続財産(預金)のことですね。
この名義預金ですが、
常につきまとう論点があります。
それは、「贈与」か「名義借り」かという判断です。
「贈与」であれば、3年以上前のものであれば、
相続税に加算する必要はありません。
6~7年以上経てば贈与税も時効となります。
「名義借り」の場合、時効はなく、
何十年前のものであっても相続財産に加算です。
そこでこんな問題が起こります。
例えば10年前に親から子へ資金移動があったとき、
それが「贈与」なのか「名義借り」なのか、
この判断によって大きく取り扱いが変わります。
相続税申告をした方は、当然「贈与」だと主張します。
相続財産でもないし、贈与税も時効だと言い張ります。
税務署側は「名義借り」ではないかと主張します。
相続財産に計上すべきだと指摘します。
相続税調査での大きな争点になるところですね。
ところが、
もし相続時精算課税の届出がされていたら?
そうなんです。
「贈与」でも「名義借り」でも、
どちらだったとしても相続財産に加算なのです。
つまりどういうことかというと、
相続時精算課税のメリットを大きくすることで、
相続時精算課税を選択する人を増やして、
相続税調査での相続財産加算の問題を解消したい、
そんな考えがあるんじゃないか、
という話です。
これによって、
争点となるような資金移動はすべて
相続財産に加算になるというわけです。
今までだと争点になっていたときの税務署側の主張が
全面的に通ることになるのです。
どう思いますか?
信じるか信じないかはあなた次第です。