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「何も隠してないから大丈夫」

ということを相続税実務ではよく言われます。

 

しかし、実際に調べて見ると、

名義預金・生前贈与がポロっと出てくることがあります。

 

名義預金とは、

名義は被相続人の親族の名義ではあるものの、

実質的に相続人の財産と認められるものです。

 

例えば、相続人名義の土地を売ったお金を、

相続人名義の口座に入れるべきところ、

親族の名義の口座に入れてそのままになっている、

そんな状況でのそのお金を名義預金といいます。

 

では、どんなものがポロっと出てくるかというと、

 

相続人の通帳の履歴を確認させてもらいます。

すると、毎月の流れとは不自然な感じで200万円の出金があります。

「これは何の出金でしょうかね?」と、

相続人にお聞きしますが「覚えてません」との返事。

 

「念のために、相続人の方のその時期の通帳履歴を確認してもらますか?」

と確認してもらったところ、

Aさんの同じ日付に同じ額の入金が入っています。

かつ、何かのために使った形跡がありません。

 

「これは相続財産にあげないとまずそうですね。」

と私が言います。

 

「いや、これはもらったんです。」とAさん。

 

「覚えてないと言ってたのに、言うことが変わった」

ということは一旦、飲み込んで口には出さず、

「もらったのなら、贈与税の申告はしてますか?」

とお聞きします。

 

「いえ、していません。」

「でも、家族どうしなら、これぐらいのことありますよね。」

とAさん。

 

「確かによくあることですよね」

「でも税務署が見たら確実に指摘されます」

「税務署は100%見つけます」

「その前提でどうしますか?」

とお返事します。

 

今までの方は全員、名義預金または生前贈与で、

相続税の申告をすることになりました。

それでも「相続財産じゃない」と言われたら、

残念ながらご縁がなかったということで、

私の相続税申告業務はそこで終了とせざるをえません。

 

で、本当に税務署は100%見つけるのか?という点。

 

税務調査に来なかったら、見つからないかもしれません。

でも、税務調査に来たら、100%見つけます。

なぜなら、これは税務調査の基礎の基礎で、

確実に調査する基本事項だからです。

 

逆に言うと、税務調査に来て、

これを見落とすような税務署員への給料は、

本当の税金の無駄遣い、といえます。

それぐらい基礎の基礎なんです。

 

というわけで、

名義預金や生前贈与のお金の異動というものは、

意外と忘れてしまいがちなんですね。

 

「何も隠してないから大丈夫」と思っていても、

案外何か出てくることがあるんです。

思わぬところで見つかって、後で嫌な思いをするより、

国民の義務として、最初から正しい申告をしましょう。