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家族信託で一番典型的な利用方法といえば、
やはり「認知症対策」ではないでしょうか。
財産の所有者が認知症になった場合、
意思判断能力がなくなったということで、
その財産はほぼ何も動かせなくなってしまいます。
有効活用ができなくなってしまうんですね。
でも、家族信託にしておけば、
家族の誰かが本人に代わって、
その財産の運用ができるようになるわけです。
例をあげましょう。
高齢のAさんがいます。
大通り沿いのいい土地を持っています。
でも、最近、認知症になるかも?という心配を始めました。
そこで、家族信託を利用します。
委託者(財産を委託をする人)はAさんになります。
受託者(委託を受託する人)は息子のBさん。
そして受益者(委託された財産からの利益を受ける人)はAさんとします。
信託する財産は大通り沿いのいい土地です。
すると、所有者はAさん、利益をもらう人もAさんですが、
運用や管理をするのはBさんになります。
こうすることによって、
Aさんが認知症になった後でも、
その土地を他に人に貸すという契約を「Bさんが」することができます。
Aさんに意思能力がなくても、Bさんが代わりにできるのです。
そして、確定申告はAさんの名前で行うことになります。
委託者・受益者がAさんの場合、
実質的な所有者はAさんとなるので、確定申告もAさんになります。
いい方法ですよね。
実際には、ちょっと要注意な点もあります。
家族信託の契約の手続き、財産の名義変更、認知症になった人の申告の問題などです。
そういった種々の問題をクリアできれば、
使い勝手のいい制度として利用できます。
ちなみに、以前あった家族信託の話は「財産の名義変更」でひっかかって、
現実化することはできませんでした。
実際に、始めるときには司法書士さんなど、
税理士以外の専門家との連携が必要です。
簡単にサクサク進められる制度ではないので、
十分に検討して、早めに、時間の余裕を持って導入を目指しましょう。