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認知症が進むと、相続税対策ができなくなります。

聞いたことがあるかもしれません。

「でも、そんなことないんじゃない?」と思う方へ、

今回はロジカルに説明していきたいと思います。

 

まず、認知症が進むと「正常な意思判断能力がない」ということになります。

すると、どうなるかというと、「判断能力がない」人が結んだ「契約」は「無効」となります。

 

ここでいう「契約」は一般の方が想像する以上に範囲が広いのです。

保険会社との保険契約も「契約」です。

ハウスメーカーとのアパート建築の契約も「契約」です。

ここまでは問題ないと思います。

 

親子間での生前贈与、これも契約なんですね。

贈与する人は「あげますよ」、

もらう人は「もらいますよ」、

という意思判断があって、初めて成立する契約なんです。

 

つまり、対外的なお金の流れがほぼできなくなるのです。

 

しかし、その対外的なお金の流れの不都合を補うのが「後見人制度」ですね。

本人に代わって、対外的な契約を行える代理人的な役割を担うのが「後見人」です。

じゃあ「後見人」にお願いして、相続税対策を行えばいいのでしょうか?

 

ところが、そうはいかないんです。

「後見人」にはもう一つ、重要な役割があるんです。

それは、「被後見人の財産を守ること」です。

 

被後見人(認知症の人)の財産を減らさないように管理する義務があります。

ここがポイントです。

相続税対策と呼ばれるものはほとんどが「相続人の財産を減らすこと」なんですね。

「相続税対策=財産を減らすこと=後見人がやったらいけないこと」

という図式が成り立ちます。

 

そうなんです。

「後見人」をつけたら、もうほぼ相続対策はできなくなるのです。

 

後見人をつける前も、後見人をつけた後も、もうできることはなくなるのです。

認知症が進んだら、ここでもうほぼ相続税対策は終了です。

 

人はいつのどのようなことが起こるか分かりません。

「相続対策は元気なうちに」と言われる一番の理由がこれです。

「まだ早い」とは考えず、すぐにでも相続対策を行いましょう。