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相続財産は「平等に分けるもの」。

最近、ネットで検索してもそんな記事が目立ちますね。

 

その一方で、

「『家督相続』は制度として廃止されたが地方ではまだその考え方が残っている。

それが相続争いの原因になっている。」

と書いてあったりします。

 

ちょっと待ってください。

「家督相続はけしからん」みたいな言い方ですよね。

それはちょっと・・と思ってしまいます。

 

私はまだまだ「家督相続」の考え方が残る地域に住んでいます。

相続税案件の依頼者も半分以上は「家督相続」です。

なので、いわゆる「ハンコ代」の説明もバリバリしています。

 

ちなみに「家督相続」とは、

被相続人である戸主が亡くなった場合は、

長男がひとりで全ての遺産を継承・相続するのが原則、

とされていた相続の在り方です。

 

実際には「さすがに長男ひとりが全てというのはあんまりだ」、

という考え方から、いくらかの財産は現金として弟や妹にも渡す、

という分割にすることが多いように見受けられます。

その弟や妹に渡す現金を「ハンコ代」と言います。

遺産分割協議書にハンコを押してもらうことから、

「ハンコ代」という言い方をされています。

 

確かに今の法律に定められた相続の割合は「平等」つまり「均等」です。

でも「家督相続」の考え方はまだまだ生きています。

「過去の遺物」になっていません。

 

「法律論」や「こうあるべき」といった杓子定規な話ではないんです。

その地域に住む人たちの感情に生き続けているんです。

「人の気持ち」が大事です。

 

「家督相続」には、その地域に住む人たちが「家督相続」を選択する理由があります。

その理由をないがしろにしてはいけません。

私はそう思っています。

 

ただ、都会に出て行った弟や妹は都会の発想に染まってしまって、

兄弟間のもめる原因になっていることが多いのは否めません。

このような「考え方の違い」があることを早いうちから認識し、

親が亡くなる前からしっかりコミュニケーションをとって、

兄弟間で「最善の策は何か」を話しておく必要はあると思います。

 

考え方を改めさせようというのではなく、

考え方に違いがあることをお互いが認め、

その溝をどう埋めていくかが大事なのではないでしょうか。