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相続になったら、

なるべく早くいろいろ終わらせたい、

と思うが人の心情です。

 

特に、

不動産の名義変更(相続登記)、

相続税の申告、

は、できるだけ早く終わらせたいものの一つです。

 

ひるがえって私の立場の話をさせていただきますが、

この仕事をしていると、

「相続の分割は終わっているので、相続税の申告をお願いします。」

という依頼がよくあります。

 

正直、こんなときはちょっとヒヤッとします。

 

なぜヒヤッとするのか?

 

例えば、

「不動産をたくさん相続したのに現預金はほとんど相続していない」

という内容だった場合、

「相続税の計算をしてみたら納税資金がない!」

というケースが起こりうるからです。

 

ここで、弁護士さんや司法書士さん的発想だと、

「遺産分割をやりなおせばいいだろう」

となるでしょう。

 

民法では、遺産分割のやり直しの効力はお亡くなりになった日までさかのぼります。

だから遺産分割のやり直しをすればいいだけ、という発想です。

 

ところが税法はそこには別の決まりがあるのです。

「遺産分割のやり直しは贈与である」

税法ではそのようにされているのです。

 

税法では、やり直しのあった日に贈与があったものとされます。

Aさんが相続すると書いていたものを、やっぱりBさんが相続する、

という内容にした場合、AさんからBさんへの贈与になるんですね。

 

だから、

一度決まった遺産分割をやり直すことは実質的に非常に難しいのです。

 

だから、

最初に遺産分割を決めるときは慎重にやらなければならないのです。

 

あらかじめ、納税額を把握した上で、

この不動産とこの不動産を相続したら、納税額はいくらいくらになるから、

この不動産を相続する人には現預金もこれだけ相続させないといけませんね、

と考えておく必要があるのです。

 

結論、

なるべく早く相続の手続きを済ませたい気持ちはあると思いますが、

しかるべき手順を踏んで、後悔しないように気をつけましょう。

まず、大雑把なものでいいので相続税の計算をしましょう。

その後で、その内容を踏まえて、遺産の分割を決めましょう。

 

以上でございます。