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問題です。
遺言を書くのは相談者のAさんです。
推定相続人は妻B・子C・子Dの3人。
子Cには子どもEさん(Aさんの孫)がいます。
相談者Aさんは「H銀行の預金を子Cに相続させる」と遺言を書きました。
しかし、子CさんはAさんが亡くなる前に他界しました。
その後、遺言の内容を変更する間もなく、Aさんも他界しました。
さて、H銀行の預金ですが、相続するはずの子Cさんはいません。
このとき、H銀行の預金は孫のEさんがCさんの代襲で相続するのでしょうか?
正解、
H銀行の預金はEさんへは代襲しません。
妻B・子D・孫Eの遺産分割の対象の財産になります。
理由は、
遺言の効力が発生するのは、Aさんがお亡くなりになった時点です。
その時点で、子Cさんがこの世にいない、となると、
遺言の効力が「無効」という扱いになるためです。
そのため、H銀行の預金はいわば宙ぶらりんの状態になります。
宙ぶらりんの状態ということは、
通常通り、遺産分割の協議をして、誰が相続するかを決めることになる、
というわけです。
せっかく書いた遺言が無効になります。
相談者Aさんとしては、子Cがいないのなら孫Eさんにあげたい、
という気持ちがあるのであれば、次の方法が考えられます。
「子Cが先に死んでいる場合には、孫Eに相続させる」
という文言を足しておく、という方法です。
これを予備的遺言また補充遺言といいます。
これによって、孫EにH銀行の預金をあげることができます。
ただ、これをしようとすると、遺言の文字数が多くなるので、
自筆証書遺言の場合はちょっと大変かもしれないですね。
でも、やっておかないといけないことはやるべきです。
手間を考慮して、公正証書遺言にすることも考えられますね。
不十分な遺言を遺しておくと、
「想った未来の実現」ができなないこともありえます。
ちゃんと考えておかないといけないポイントの一つです。