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一般の方によくある勘違いが、

「うちは財産が少ないからもめないよ」

というものです。

 

相続関係者の間ではもはや常識ですが、

裁判所までもつれる相続事件は

圧倒的に財産が少ない家のほうが多いんです。

 

遺産紛争の33.7%が財産1000万円以下

そして43.8%が1000~5000万円、という統計があります。

5000万円以下でくくると、なんと77.5%になります。

 

ちょっと分かりやすく事例をあげてみましょう。

 

相続人は兄と弟の2人。

財産は自宅(兄も同居)の土地建物2000万円、預貯金2000万円、

合わせて4000万円です。

 

兄は今住んでいる自宅と預貯金の半分を要求します。

自宅2000万円+預貯金1000万円=3000万円

しかし、弟は半分もらう権利があるといって、

預貯金2000万円を要求します。

 

兄としては弟案では相続する預貯金が0円になります。

「そんな案、飲めるか!」ともめる、ということになります。

 

では、この場合ではどうでしょう。

相続人は兄と弟の2人。

財産は自宅(兄も同居)の土地建物2000万円、預貯金1億8000万円。

合わせて2億円です。

 

兄は今住んでいる自宅と預貯金の半分を要求します。

自宅2000万円+預貯金9000万円=1億1000万円

しかし、弟は半分もらう権利があるといって、

預貯金1億円を要求します。

 

兄としては弟案では相続する預貯金が

9000万円から8000万円が減ってしまいます。

するとどうなるか?

「しょうがないなあ、まあいいよ。」

これで遺産分割がまとまる、というわけです。

 

1000万円が0円になるのと、

9000万円が8000万円になるのでは、

全然違いますよね。

 

遺産が少ないほどモメることが多くなるのは

こんなことが多いのかなあと思います。

 

では、どうすればいいか?

ここで一つの提案が「遺言」を遺すこと。

 

「遺言」とは親から子供への手紙です。

親から子供へ想いを伝え、愛を伝える手段です。

兄弟だけで話し合って結論が出なくても、

親からの言葉があれば、

まとまるケースが増えるのではないでしょうか。

 

親が兄と弟に、それぞれどれだけ相続させるか提示して、

なぜそのような分け方にしたのかを、

これまでの人生を振り返り、

感謝の言葉を交えて説明する、

そんな内容の遺言を残すのです。

 

子どもはその言葉を聞いて、

それに逆らうような分け方を要求するでしょうか。

多くの人は親の言うとおりにするのではないでしょうか。

 

「遺言」にはそんな役割もあると思います。

 

財産が少ないからもめない、というわけではありません。

むしろ、もめる原因となりうる、と考えた方がいいかもしれません。

 

「遺言」、検討してみてはいかがでしょうか。