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先日のブログでも書きました。

河野大臣が「年末調整廃止」「国民全員が確定申告」と話をした件について、

もうちょっと深掘りしてみます。

 

そもそも年末調整とは何か?

 

まず、納税が国民の義務であることは皆さんご承知のとおりです。

でも、ほとんどのサラリーマンは税金の手続きである確定申告をしたことがありません。

「それはなぜか?」ということです。

 

なぜなら、サラリーマンは「年末調整」をすることで、

「確定申告」をしなくてもいいですよ、

という決まりになっているのです。

 

つまり「確定申告」と同様の機能が「年末調整」にはありあます。

 

そこで、両者の違いは何なのか?

というところが問題になるかと思います。

 

まず、「確定申告」は国民が税務署に確定申告書を提出する手続きです。

 

それに対して「年末調整」とは、

サラリーマンが確定申告と同じような手続きを「会社にやってもらう」手続き、

といえます。

 

そしてその会社から見ると、どんな手続きかというと、

社員に成り代わって、社員の税金計算に必要な資料をとりまとめ、

社員に代わって税金の計算をして、給与から天引きした税金の精算をして、

社員の代わりに税務署に税金を納める手続きにります。

 

つまり、会社が社員の面倒な手続きを全部代わりにしているんですね。

そして、経理部門のない中小零細企業は、

その税金計算の作業を税理士事務所に丸投げしている、というのが現状です。

 

さて、これでお分かりいただけましたでしょうか?

 

年末調整廃止・国民全員確定申告ということは、

日本全国のサラリーマンはもう会社が代わりにやってくれないので、

自分で計算して自分で納税しないといけなくなるということです。

 

すでに確定申告を自分でいる個人事業主からすると、

「自分の税金を自分で計算する」という「当たり前のこと」を

サラリーマンもするようになるだけのことです。

すでに個人事業主は自分で確定申告をしていますから。

 

で、この「当たり前のこと」を自分でするようになると、

税金に対する意識が変わります。

自分の納める税金を自分で計算するので、

自分の税金がいくらかを把握するようになり、

思った以上に高額な税金を納めていることに気がつき、

税金の使い道について今まで以上に意識が高くなり、

政治に対する関心もどんどん高くなる、と思われます。

 

視点を変えて、

事務負担についてもお話しておきましょう。

 

年末調整廃止になると、

手続きを会社や税理士事務所がしなくてよくなります。

会社の経理部門担当者や税理士事務所の負担は一気に減ります。

 

一方で、サラリーマンは自分で計算する負担が増えます。

問い合わせ先は税務署なので、税務署の負担も増えます。

そこで「負担が増えて大変だ!」という人がいるのかなと思います。

 

しかし、そこはデジタル大臣が言っているわけですから、

DXによってその負担は増えないようにしますよ、

というの大前提(公約?)だということだと思います。

すでにスマホでの確定申告も進んでいますしね。

 

この大前提に考えがついていかない人は

「負担が増えて大変だ!」「実務を分かってない!」

となるのかなと思います。

 

あと、私が思うのは、

納税について義務教育に取り入れたほうがいいんじゃないかと思います。

納税はとても重要なことです。

納税の理念や具体的な徴税方法は国民の全員が知るべきかと思います。

 

それをなぜ国民に知らせないかというと、

税金に無関心でいてほしい、

ひいては政治に無関心でいてほしい、

という人が少なからずいるからかな、

と、うがった見方をしてしまいます。