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昨年の衆議院選挙で自民党・公明党が少数与党となり、
政治的なやりとりがあれこれあった結果、最終的に今年の3月、
非常に複雑な税制改革案となった上で国会で可決されました。
そして、その非常に複雑な税制による年末調整の時期が
確実に近づいてきています。
気になるのは「〇〇万円の壁」のところだと思いますが、
まずよくある誤解について説明します。
この「壁」には「社会保険制度上の壁」と「税制上の壁」の2つがあります。
それぞれ違う制度であり、それぞれ基準額が異なるということをご理解ください。
昨年の選挙で話題になった「103万円の壁」は「税制上の壁」です。
大学生の子どもの給与収入が103万円を超えると、
親の扶養に入れなくなる、といった問題でした。
一方、「社会保険制度上の壁」には、勤務先の規模によって
「106万円の壁」または「130万円の壁」があり、
家族の給与収入がこれらの基準額を超えると
社会保険制度上の扶養に入れなくなるというものです。
「社会保険制度上の壁」と「税制上の壁」は
どちらか低い方の縛りを受ける傾向が強いと思われますが、
詳細については割愛させていただきます。
そして、「税制上の壁」についての説明です。
改正前は、配偶者は「150万円の壁」、
それ以外の親族は「103万円」の壁でした。
今回の改正でその基準額が変わりました。
配偶者は「160万円の壁」、
大学生世代(年末現在で19歳以上23歳未満)は「150万円の壁」、
それ以外は「123万円の壁」となりました。
ただ、配偶者と大学生世代は壁を超えたとしても、
一気に扶養控除の額が0円になるのではなく、
それぞれ201万円、188万円までは
段階的に控除額が減っていく仕組みとなっています。
年末調整にあたり、
担当する会社の経理・総務担当者が気をつける点としては、
各従業員に配布する年末調整用各種控除申告書に必要事項を
きちんと書いてもらうようお願いすることかと思います。
具体的には扶養家族の「氏名」「続柄」
「生年月日」「その年の収入の見込」などです。
とにかく複雑な制度となっていますので、
細かい情報に不足があればそこで事務をストップし、
再度各従業員に確認が必要となります。
二度手間、三度手間を防ぐため、
事前に記入項目の徹底をされることをお勧めします。
本来であれば、専門用語で言うところの
「給与所得控除額」や「基礎控除額」の改正内容を説明をして、
控除額の表の掲載もしたいところですが、
あまりに細かい内容のため省略いたします。
詳しくはお近くの税理士に相談するか、国税HPを参照してください。