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相続になると、銀行口座は凍結されます。

引き出したくても、引き出せなくなります。

 

でも、生活費の引き出しは必要ですよね。

しかし、引き出せないんです。

銀行がシステムでストップをかけてしまいます。

困りますよね。

 

では、そもそも、なぜ銀行は口座を凍結するのか?

そこを理解する必要があります。

 

その理由は、相続人達とのトラブルが起きないようするためです。

 

例えば、相続人がAさんとBさんの2人いるとします。

Aさんが相続後に全額を引き出してギャンブルで

使い果たしてしまったとします。

こんなときにトラブルが起きるのです。

 

相続になると、お亡くなりになった瞬間、

お亡くなりになった人の財産は一旦、

相続人全員の共有物になります。

 

上記の例でいくと、

その口座は、AさんとBさんの共有物になるわけです。

Aさんが全額引き出したということは、

Bさんのものまで引き出したことになるわけです。

 

Bさんからすると財産を「不当」に奪われた、

ということになるんですね。

 

となると、Bさんは、

Aさんに「返せ!」となるのはもちろんですが、

銀行に対しても「勝手に引き出させるなんて、管理不十分だ!」

ということになってしまうわけです。

 

AさんとBさんの相続争いに巻き込まれてしまうのです。

だから、そのような事件に発展しないように、

口座を動かせないよう凍結してしまうのです。

 

お分かりいただけましたでしょうか?

 

となると、

凍結を解除するための方法は自然と見えてきます。

 

「相続人間の争いは起きませんよ。」

「ちゃんと話し合い済みですよ。」

という証拠があれば、銀行は凍結を解除して、

その話し合いのとおりに名義変更をしてくれます。

 

そのときに必要なのが、

戸籍一式(または法定相続情報)、遺産分割協議書、印鑑証明

といった書類になるわけです。

 

遺産分割協議書がなくても、

銀行所定の書類に相続人全員の実印を押す、

といった手続き方法もあります。

銀行からすれば、相続人間の争いがないことが分かれば、

問題はないというわけです。

 

銀行は意地悪で凍結しているわけではありません。(^-^)

 

能登半島地震では、公費解体に際して同様の問題が起こっていますね。

「兄弟が俺の知らない間に勝手に解体した!」

「市は兄弟の言うことだけを聞くなんて、管理不十分だ!」

と市が訴えられる可能性があるので、

公費解体が進まないんですね。

 

難しい問題ですね。