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遺言を書くべき人の3回目です。

財産が自宅と若干の預貯金の人です。

 

まず、「うちは財産が少ないから大丈夫!」

と思っていても、それはちょっと違うかもしれません。

相続でもめて家庭裁判所に持ち込まれた案件のうち、

約4割は遺産総額が1000万円以下というデータがあります。

 

財産が自宅と若干の預貯金がその典型例ではないでしょうか。

 

相続人が兄弟2人で、自宅750万円と預貯金250万円。

兄は被相続人と同居していた場合、

兄が自宅を相続すると、それだけで75%相続することになります。

 

一方、弟は法定相続割合の2分の1を要求すると、500万円です。

預貯金を全部弟のものにしても、まだ250万円不足します。

兄には自分の財産の中からそのお金をまかなう必要がありますが、

残念ながらそのお金を準備する余力がありません。

 

さあ、困ったぞ。

となるパターンです。

 

そんなときに備えて遺言を書くという手があります。

 

まず、遺言を書くことで、

弟の権利が遺留分である2分の1の2分の1、

つまり4分の1にすることができます。

これにより遺留分として250万円を弟に渡すことで、

解決することが可能です。

 

そしてもう一つ、

付言事項で思いを遺すことです。

「兄の方には生前同居でいろいろ世話になって感謝している、

自宅をこれからも守っていってほしい、

弟の方には法定割合分の財産を遺せず申し訳ないと思っている、

しかし、弟も兄と同じくらいの愛情を持っている、

このような分け方になったことを理解してほしい」

というような内容を書き、

感情面での整理がつくように導くことです。

付言事項には法的な縛りはありませんが、

親からの直接の言葉は心に届くはずです。

 

愛する子ども達が、自分のいなくなった後にケンカ別れするのは、

親としては非常に残念で心苦しいはずです。

思い残すことがないように、遺言を遺してはいかがでしょうか。