野々市・金沢・白山市を中心に活動している「かわした税理士のブログ」へようこそ!
令和6年の改正で節税対策としての生前贈与の理解が
非常に難しくなりました。
「結局、どうすればいいの?」と悩んでしまいます。
少しずつ整理したいと思います。
今回は被相続人が高齢者であるという想定で、
節税を考えてみます。
1.高齢者の場合「暦年課税」による節税効果は限定されることに。
「暦年課税」による贈与をした場合、
相続税の計算のときに加算される贈与は、
お亡くなりになる日前7年以内の贈与になりました。
したがって、高齢者は7年以上長生きしないと節税効果が出ません。
8年長生きしたとしても、そのうち節税効果があるのは1年分だけです。
コスパが非常に悪いという印象です。
これはもう最近の財務省お得意の増税ですよね。
ただ、7年さかのぼるのは相続人に対しての贈与で、
孫や、子どもの妻といった、相続人以外への贈与については、
7年さかのぼることはありません。
ここはまだ節税対策として利用できます。
メリットがまだ残っていると考えるべきかと思います。
したがって、被相続人が高齢者の場合、
「暦年贈与」の利用は、
相続人への贈与はバツ、相続人以外への贈与ならマル、
といったところでしょうか。
2.では「相続時精算課税」は?
これに対して、「相続時精算課税」の場合、
非課税の年間110万円を利用した場合、
1年もさかのぼりません。
これは使えますね。
ただし!
「暦年課税」でよくやっていた低い税率を利用する対策、
つまり、200万円や300万円など、
110万円を少しだけ超える贈与をして、
相続税との税率の差を利用する節税対策、
これは使えません。
110万円を超えたら、すべて相続税の計算で加算されるためです。
そうです。
「相続時精算課税」を利用した場合、
年間110万円以内だけに節税対策は限定されます。
したがって、大幅な節税対策は難しいと思われます。
「節税対策をしよう」と思ったときに、
すでに高齢者になっている場合には、
生前贈与による節税対策は非常に難しいといえます。
大幅な節税対策は難しいけれども、
少しでも生前贈与で財産を減らしたい、
ということであれば「相続時精算課税」を利用しても
よいのではないかなあと思います。
ちなみに、
相続人に対して「相続時精算課税」を利用しても、
相続人以外への「暦年贈与」ができることは変わりません。
なので、併用して考えることがおススメなのかなと思います。
節税対策をしようという人が、まだ若い人なら?
それは次回以降、考えてみたいと思います。