野々市・金沢・白山市を中心に活動している「かわした税理士のブログ」へようこそ!
「消費税の還付金は補助金なのか?」に続いて、
「なぜ食料品の消費税が0%になると飲食店が苦しくなるのか」
について解説したいと思います。
まず、おさらい。
消費税の計算方法は、
「預かった消費税」から「支払った消費税」を差し引いて、
手元に残ったものを納める、という計算方法ですね。
324円の食品を仕入れて加工して、1100円で提供すると、
支払った消費税(8%)24円、預かった消費税(10%)100円、
差引して、76円を飲食店が納付します。
(光熱費や家賃はあえて無視しますね。)
じゃあ、食品の消費税率が0%になると、
食品に消費税がかからなくなるので、324円が300円になります。
300円の食品を仕入れて加工して、1100円で提供すると、
支払った消費税(0%)0円、預かった消費税(10%)100円、
差引して、100円を飲食店が納付します。
飲食店の負担は、
税率が8%のときは、消費税24円+納付76円=100円
税率が0%のときは、消費税0円+納付100円=100円
ということで変わりません。
となると、
飲食店の負担は変わらない、
ということになります。
しかし、これは「理論上」の話。
あくまで、「理論上」は変わらないだけ。
世の中は「理論どおり」にはいかないものです。
前回の時も話をしましたが、
販売価格は自由に決めれるものであり、
その決定方法は絶対的なものではなく、
相手や時期や場所によって変わります。
食品の消費税率が0%になったら、
税込324円の食品は税込300円に値下がりするでしょうか?
今まで324円で売れていたものを、
消費税率が下がったからといって、
300円に価格を下げるでしょうか?
理論上は下げるはずですよね。
でも、こんな考え方もあるはずです。
「今まで324円だったんだから、324円でいいんじゃない?」
「値上げの時期だし、315円まで下げればいいんじゃない?」
「もっと値下げして290円でいこう!」
価格の決定は絶対的なものではありません。
人の気持ちとしては、
「今まで324円だったから」
「値上げの時期だから」
「農薬なども値上がりしてるし」
ということで、324円のままになる可能性があります。
十分、考えられますよね。
むしろ、その可能性が高いかも(?)
すると、
食品の消費税率が0%なのに、
324円の食品を仕入れて加工して、1100円で提供すると、
消費税24円+納付100円=124円の負担になってしまいます。
単純に飲食店の負担が増えてしまうんですね。
塵も積もれば山となる。
これがもっと大きい金額になると、
もっともっと大きな負担になるのです。
人の心は理論どおりには動きません。
それを見越してのお話。
それが、
「食料品の消費税が0%になると飲食店が苦しくなる」
という理屈です。
私見がいっぱい入ったお話です。
信じるか信じないかは、あなた次第です。