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先日、税理士事務所経営での雇用のリスクについて
ちょっとだけ触れました。
しかし、雇用主にとって、特に中小零細企業にとって、
現在、雇用がリスクとなっています。
そのことについて、もうちょっと具体的に触れたいと思います。
1.資金繰りのリスク
ビジネスは売上が安定するとは限りません。
売上はその時々で増えたり、減ったりするものです。
しかし、雇用をすると、人件費という経費が、
毎月固定で支出されることになります。
そうなると当然、毎月その固定費は確保するための
売上確保に追われることになります。
これは確実に経営上のリスクです。
2.働かない人、能力のない人へも給料を払うリスク。
日本の法律は労働者の保護が手厚いです。
能力がなくても解雇できません。
解雇できる場合は、雇用主が会社として、
仕事の教育を何度も何度も繰り返して、
改善するように指導を何度も何度も繰り返しても、
改善が見られないときだけです。
単純に能力が低いからでは解雇できません。
その人の能力が低いことで他の人の足を引っ張っていても、
簡単には解雇ができない制度になっています。
3.すぐに辞められるリスク
一方で、労働者は、
退職する1か月前に経営者に退職の意向を伝えれば、
有無を言わさず退職できることになっています。
雇用主からすると、
解雇はなかなかできないのに、
辞められるときはあっさり辞められてしまうのです。
何ともアンバランスなことになっています。
4.働き方改革の様々な制度
働き方改革で労働者は保護されています。
残業規制、育児休暇など。
これを雇用主から見ると、
自由に解雇できないから、今いる人に残業で頑張ってほしい
→(国)残業させちゃダメ!
→(雇用主)仕事が回らないよ!
育児休暇はいいけど、育児休暇から戻ってきたら余剰人員が生まれる
→(国)解雇しちゃダメ!
→(雇用主)人件費が大きくなってお金が回らない!
雇用主にとって大変厳しい内容です。
5.中小企業も賃金を上げろ、という社会的風潮
値上げの価格転嫁が進まない状況での賃上げは
とりもなおさず経営の圧迫を意味します。
いくら総理大臣が訴えかけても、
現実の問題はまた別の話です。
無理ゲーです。
6.退職代行や労働者を守る弁護士の充実
労働者サイドに立つバックアップ体制が充実しています。
うかつなことはできません。
もし、労働者側が弁護士をたててきたら、
雇用主も弁護士をたてる必要があります。
このような争いを抱えることは精神的にも重圧ですし、
弁護士費用も有料なので、経営を圧迫します。
これらのことを総合的に考えると、
「雇用をしない」
と決めることは当然経営判断としてありえます。
「雇用をしない」経営を選択することが最善策だ、
と考える人が増えても何も不思議ではありません。
日本の大部分を占める中小零細企業がこのような状況で、
はたして日本経済はよくなっていくのだろうか?
そんな心配をしている今日この頃です。